「有給や退職金は消える?」民事再生・事業譲渡で会社が変わる時の従業員のリアルな末路

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「会社が民事再生になり、別の会社に引き継がれるらしい」

「今まで消化せずに貯めてきた有給休暇や、退職金はどうなってしまうんだろう?」

職場の経営破綻や、事業譲渡(ビジネスの売却)というニュースを耳にしたとき、誰もが真っ先に抱く不安です。

特にバックオフィスや現場で真面目に働いてきた人ほど、長年積み上げてきた自分の権利がどう扱われるのかは死活問題になります。

結論から言うと、会社の再編方法(民事再生や事業譲渡)の進め方によって、あなたの有給や退職金は「そのまま引き継がれるケース」もあれば、「完全にリセットされるケース」もあります。

今回は、1歳の娘を守るために法律の知識を総動員して自衛した私の経験から、会社が再建・譲渡される際の「有給・退職金・雇用契約」のリアルな実態を解説します。

会社が変わる「事業譲渡」。従業員の雇用契約は自動で引き継がれない?

まず知っておくべきは、民事再生に伴う「事業譲渡(事業を別の会社に売却する手続き)」が行われる場合、あなたの雇用契約は自動的には引き継がれないという事実です。

「会社分割」や「合併」とは異なり、事業譲渡は個別の資産や契約を一つずつ買い手企業に移転する手続きとなります。

そのため、あなたが新しい会社(買い手企業)に移籍するためには、あなた自身の個別同意が絶対に必要になります。

本人の同意がない限り、会社側が強制的にあなたを別の会社へ転籍させることは法律上認められていません。

もし提示された新しい労働条件に納得がいかない場合は、転籍を拒否して元の会社に留まるか、会社都合としての退職を選択する権利があなたにはあります。

誰もが一番気にする「有給休暇」のカウントはリセットされるのか?

これまで消化せずに大切に貯めてきた「有給休暇」ですが、事業譲渡の際には大きな落とし穴があります。

原則として、新しい会社と「新規に雇用契約を結び直す」ことになるため、元の会社での有給休暇のカウントは一度リセット(消滅)されてしまいます。

勤続年数によって増えていく有給の付与日数も、建前上は「入社1年目の新人」として再スタートになってしまうのです。

しかし、これでは従業員のモチベーションが著しく低下するため、実務では救済措置が取られるケースが多々あります。

「売り手企業と買い手企業の間で合意があれば、有給休暇の残日数を新しい会社にそのまま引き継ぐ」という特約を、譲渡契約の中に盛り込むことが可能なのです。

会社から手渡される「転籍同意書」や労働条件通知書にサインをする前に、「私の有給休暇の残日数はどう扱われますか?」と人事担当者に必ず確認してください。

長年積み上げた「退職金」と「勤続年数」の引き継ぎ方法

もう一つの大きな財産である「退職金」についても、事業譲渡の際には2つの処理方法が存在します。

① 転籍時に一度精算して受け取る方法

転籍するタイミングで元の会社での雇用を一度終了させ、その時点までの退職金を元の会社(または破産管財人など)から支給してもらう方法です。

② 新しい会社に「勤続年数」を引き継いでもらう方法

元の会社での勤続年数を新しい会社がそのまま通算して引き継ぎ、将来新しい会社を退職する際に、全期間分をまとめて新しい会社の退職金規程に基づいて受け取る方法です。

ここで絶対に注意してほしいのが、「転籍先の会社に、そもそも退職金規程(制度)があるか」という点です。

もし新しい会社に退職金制度自体が存在しない場合、どれだけ勤続年数を引き継ぐと約束されていても、最終的に受け取れる退職金はゼロになってしまいます。

「勤続年数を引き継ぎます」という甘い言葉を鵜呑みにせず、新しい会社の就業規則や退職金規程がどうなっているかを書面で確認することが、あなた自身の身を守る最大の防御になります。

1歳の娘を育てるパパとして、私が「提示された条件」と対峙した方法

会社が崩壊の危機に瀕していた当時、我が家にはまだ言葉を話さない、1歳の愛おしい娘がいました。

家族の生活と、娘の未来が私の両肩にかかっている。

そんな状況の中で、有給が消えるかもしれない、退職金がうやむやにされるかもしれないという不安は、夜も眠れないほどのものでした。

しかし、以前の記事「社労士の勉強が会社倒産で役に立った実体験!事務員が知っておくべき「盾」となる知識」でもお話ししたように、法律の知識という「盾」を少しでも持っていたことが私を冷静にしてくれました。

会社側は、混乱に乗じて「とにかく早くサインをしてくれ」と転籍同意書を急かしてくることがあります。

しかし、私は娘の無垢な視線を感じながら、「ここで妥協してはいけない」と踏みとどまり、書面の労働条件(給与、休日、退職金の有無)を1行ずつ冷徹にチェックしました。

もし、提示された条件があまりにも不当で、有給や退職金が切り捨てられるようなら、会社と心中する必要はありません。

その時は、前回の記事「倒産や経営破綻は不利にならない!本部事務員が教える「履歴書の書き方」と面接の伝え方」を参考に履歴書を整え、さっさと転職エージェントに登録して新しい船に乗り換えるのが正解です。

あなたの人生の「権利」は、会社ではなくあなたが守る

民事再生や事業譲渡の渦中では、経営陣や弁護士は「事業の存続」を最優先にし、一従業員の細かな権利(有給や退職金)は後回しにされがちです。

だからこそ、バックオフィスで働く私たちが自ら知識を持ち、交渉し、時には「逃げる」というカードを切らなければなりません。

「どうせ会社都合だから仕方ない」と諦めないでください。

あなたの中に蓄積された実務の経験や、家族を想う強い意志は、どんな組織再編があっても決してリセットされることはないのです。